♪人前で演奏するという事1♪

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11/10に声楽の方の大学院入試の伴奏の本番、11/13にソロの本番(国立音大AIスタジオにて恩師主催の演奏会)が終了し、やっとホッとしている所です。

それぞれの本番には、それぞれ得たものがありました。

まず声楽の伴奏。こちらは依頼を頂いてから約3週間という中で5曲の譜を読んで、試験1週間前に声楽の方の体調が悪くなってしまった事もあり、1度の合わせのみで本番という結構タイトなスケジュール!大学院入試ですから当然聴く人は皆がプロ!入試ですから、その方の人生がかかっている!・・・と思うと緊張しましたが、試験当日に18年振りの母校に入って懐かしむ思いと、「これが噂の新1号館か~。」と初めてみる新しい母校の校舎にワクワクもしていました。しかし、試験控え室に入ると状況は変わります。1番のりに来ていたとみられる男性の発声練習の声、現役のピアノ科の伴奏者の話し声、受付の前の手を温めるストーブ、試験官の先生方が1人また1人・・と試験室に入って行きます。まさにTHE試験!といった感じ。

受験番号の1人前の方々の演奏、チンという終了のベルの音。さぁ出番だ!ヴォルフの歌曲。直前にテンポの確認をしていたので、ほぼその通りに前奏始め、2週間前に合わせした時より曲に入り込んで演奏できた。ピアノも弾きやすかったし、ご本人も演奏し終えた後すがすがしいお顔をされていたので良かったと思った。しかし、翌日の結果は残念な結果だった様子。悔しかった。もっと早く依頼を頂いて、合わせをあと1~2回多くできていたら・・、ご本人が体調を崩さずに師事されてる先生のレッスンに付いていけたのなら・・結果は違っていたかもしれない。学生の頃は、大抵声楽の伴奏合わせは少なくとも3~5回以上はしていたし、レッスンにも1~3回は付いて行った。やはり、声楽の先生のレッスンは2人で演奏したトータルの状態を聴いて頂けるので、的確に指導して下さるし、かなり勉強になる。悔しい思いはあるですが、得たものもありました。

まず、ヴォルフやR・シュトラウスなどピアノでは大抵出てこない作曲家の作品に触れられた事。又、今回はオペラでは無く、歌曲だったので、ドイツ歌曲の世界(特に歌曲の王シューベルトは大好き!)に入れた事、又、声楽の方と短い時間でしたが真剣に向き合って5つの曲をアンサンブルできた事・・・。これは、自分1人ではできないこと。音楽を真剣にやっていて良かったと思いました。そして、「やっぱり歌の伴奏が好きだなぁ。」と思いました。私自身ピアノ曲を選ぶ時、メロディーのはっきり出る曲が好きで、旋律をいかに歌わせるかを研究するのが好きなのです。だから、ピアノ教室の生徒にも良く歌ってもらうのですが、歌には当然ながら歌詞があるので、その情景が想像しやすく(まぁ、専らドイツ歌曲はドイツ語ですが・・)、気持ちも込めやすくなります。その曲の情景や想いが忠実に表現できる様に、声楽の方をサポートする事が、ピアノソロにとっても良い影響を与えるのではないかと思うのです。

試験やコンクールは、例え全員が良い演奏をしても、合格者、入賞者が出ると同時に、不合格者、落選者が出るものです。たった数分の1度きりの自分の出番にどれだけ自分のやってきた事、表現をだせるか・・・、ある種、パフォーマンス的要素も必要となってきます。もちろん、本番を想定して、自分の出来うる限り、努力に努力を重ねる事が必要な事は言うまでもありません。目標があるからこそ努力できるという事もあります。ですから、試験やコンクールが悪いものだとも思いません。

しかし、先日11/13の勉強会のようなソロの本番の後の打ち上げで、数十年、附属中高、音大の教授でいらして、試験の試験官を長年されていた恩師がこの様な事をおっしゃってました。

「私、試験て嫌なのよね。ピタっととまってしまったりすれば明らかに点数落とせるけど、そうじゃないと難しいのよ。今みたいな会が1番好き。それぞれの良さが聴ける。それぞれの演奏にそれぞれの花があればいい。」

音大の現役の時は到底聞けないお言葉だったと思いますが、このお言葉を聞いて、じーんとしてしまったのは私だけではなかった気がします。

 

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