☆ピアノ発表会/Christmas Concert 2020☆

「先生、テキスト忘れちゃった。」「もう、次から気をつけてね。」

「あれ?宿題ここじゃない?」

「だって、〇〇ちゃんこれ花丸ついてるよ。宿題、次のページだね。」

数週間前の先生のあまりに違う反応(笑)に、習って間もない生徒さんはキョトン・・・??

はい。発表会を終えて、当教室は穏やかなレッスン、続いております(^^♪。

~2020.12.6(日)、クリスマスコンサート2020と題し、平塚市中央公民館大ホールにて、毎年恒例の3教室合同のピアノ発表会がお陰様で無事終了しました☆~

コロナ禍の中、最後の最後まで開催できるか心配しておりましたが、発表会開催から2週間経過し、3教室共に59名の出演者、ご来場者、関係者に感染などの報告も無く、やっと無事終えられたとのご報告ができ、心からホッとしております。

これもひとえに、関係者の皆様、出演者のご家族、クリスマスコンサート2020に関わって下さった皆さまのお陰、と講師一同心から感謝しております、ありがとうございましたm(__)m。

地元に感染者が発生した3月~6月まで当教室は休校しておりました。2月の末から公立小中高が一斉休校となり、レッスンに通う生徒さんの親御様の心配に対応した形でした。

しかし3月~4月休校ときて、今度は「学校も休みで、家でだらだらして、ピアノ弾けなくなってしまうのではないか心配。」との親御様の声もあり、急遽、ラインでの動画レッスンを始める事にしました。

生徒さんから送られた動画に、スマホ三脚(←買いました!)を使ってレッスン室のピアノで弾きながら私からアドバイス動画を撮って送る、ビデオレター?方式。

動画レッスンは参加自由でしたので、初めは特定の生徒さんからしか来なかったのですが、最後の方はほとんどの生徒さんが参加してくれました!!

スマホやタブレットでの録音ですから音には期待できませんでしたが、横にいる弟の声と共に聴こえる小さい生徒さんのピアノを弾く姿、中高生の超真剣なノーミスの動画(恐らく何回も撮り直したであろう、笑)に私自身、大変勇気づけられました!!ご協力、ありがとうございました。

そんな動画レッスンを乗り越え、6月から対策を講じながら、恐る恐る対面レッスンを始め約半年。目標の発表会を迎える事ができました!!

手指の消毒、マスク、フェイスシールド、非接触体温計(←これが計りにくいんだな、笑)・・・。

コロナウィルスが収束したら、(こんな事もあったよね!)て笑ってしまうような出で立ち(笑)で会場の入り口に立つ私含む講師スタッフ・・。

入場者リストの事前作成、出演者ご父兄へのコロナ対策注意事項プリント4枚作成、来場者の検温、消毒、客席は1席おき、出演直前の舞台袖での手指消毒、マスク着用(出演時捨てて舞台へ)、1・2部入れ替え制(集合写真も直前までマスクで間隔空けて部毎に撮影)で換気、コロナ対策で時間がかかる為1人演奏平均時間2分半(リピートカット、弾きたいのにやむを得ず曲目カットした生徒も)・・・。

例年と違う事ばかりで、講師スタッフ皆準備から当日まで、てんやわんやでしたが、出演者の皆さんは落ち着いて、一人一人の花を舞台で咲かせてくれました(^_^)

ピアノを始めたばかりの幼稚園のお友達、お馴染みの小学生メンバー、10年選手の中高生、数十年ぶりに発表会に出られた大人の方、ベテランの大人の方、初心者~音大受験を目指している生徒さんまで、1・2部合計59名(1名欠席)、邦人作曲家の曲~ベートーヴェン、ドビュッシー、シューマン、ショパンの曲まで、皆それぞれのドラマがありました。

本番は1度きり。弾いていく音弾いていく音、過去になっていくけれど、確かにそこに生まれる音楽がある。瞬間芸術。おうちでも、レッスン室でも、リハーサルでも、もちろん本番でも、同じ演奏は、1度もない。たった1度きりの芸術。

ドキドキして舞台袖で待ち、スポットライトの当たる舞台に一人で立ち、沢山のお客さんの前で、ポーンと最初の音を出す・・・。その瞬間までは先生の仕事。でも、そこからは、3歳でも大人でも誰でも自分だけの世界。

練習は大変だ。面倒だ。でもその瞬間芸術のために一生懸命練習する。

練習した分だけ、経験したぶんだけ、聴いている人の心に響く演奏になる・・・。

やっぱり音楽は素敵だ。

今年も心に響く沢山の演奏があった。ありがとう☆

一人一人の出会いに感謝して、一人でも多く、「私のピアノ教室で習って良かった。」「ピアノをやってて良かった。」と思って頂けれる様に、これからも一歩一歩、私なりに積み重ねていきたいと思います。

さぁ、来年の発表会に向けて、又、頑張っていきましょう(^^♪

日日是好日

新型コロナウィルスというウィルスの名前が世に出回るようになってから1年が経とうとしている。1年前はこんなにも世界中を苦しめるものになるとは思っても見なかった。

気づくと私はブログを1年書いていなかった。でも何も考えて無かった訳では無くて、むしろ色々な事を、無い頭でいっぱいいっぱい考えた1年だった。こうやって私がのんきに生活している間にも、医療現場では、自らの命を危険にさらしながら患者さんの命を救う事を最優先に戦って下さっている医療従事者の方々がいる。本当に頭があがらないし、心より感謝している。分かっている。頭では分かっている。しかし、この1年、自分の心の中に、言葉には言い表せない感情があった。

思えば昨年の暮れ、突然の電話に愕然とした事から始まった。息子が幼稚園に行く前から家族ぐるみでお付き合いのあるご近所の旦那様から。「妻が亡くなりました。」

「え?」とっさに旦那様が何をおっしゃっているのか分からなかった。「実は癌を患っていまして・・。」と。嫌そんなはずない。だって先日も駅でばったり奥様にお会いして、息子の背がずいぶん高くなったとびっくりされていた。いや、だって私と年齢だってそこまで変わらなかった。何で、何で何で、、、。訳が分からぬままご自宅に伺うと、棺の中に彼女が居た。穏やかな顔で。頭の中に色々なシーンが蘇った。まだやっと歩き始めたばかりの息子をかかえて一緒に行った子供広場。ご近所3家族で毎年恒例だった夏のBBQ。何故かご近所3家族の長男が皆1月生まれだと分かり始めた合同誕生日会。子供の大好きなクリスマス会・・・。小田原という土地が私にとってまだ良く分からない、馴染めない土地だった頃から、共に子育てをしながら色々な事を共感し、戦ってきた同志。たんなるママ友なんていう言葉には収まらない貴重な存在だと私は思っていただけに、本当に衝撃だった。何で何も話してくれなかったんだろう。どんなに苦しかっただろう。どんなに辛かっただろう。どんなに無念だっただろう。色んな感情が一気に押し寄せて私はどうしたらいいか分からなかった。でも残されたご家族の事を考えると、私なんか泣いちゃいけないと思った。泣く資格もない。何もできなくてごめんなさい。ただ、ただ、そのご家族のこれからの幸せを心より願うばかり。だって絶対彼女が1番そう願っていると思うから・・・。

そうして私は知った。頭では分かっていたが、身に染みて痛感した。

命には限りがあるという事を・・・。

そこから私は、私なりに必死になった。生かされている間、自分の出来る事を出来るだけ頑張ろう、と。

まずは地元の音楽家協会の2/29のコンサートだ!本番1か月半前に曲目変更を余儀なくされて、一時はパニックになったが、自宅のピアノ以外での練習の必要性を感じ、近所の公共施設のピアノを借りて自分のリハーサルも終え、さぁ、残るは協会のゲネプロ、本番を待つばかり、という時だった・・・。「コンサートは中止となりました。」

本番5日前。ちょうど新型コロナウィルスの影響で地元の小中学校が休校になると騒ぎ始めた頃だった。

「何で・・・。」いや、頭では分かっている。協会の決断は正しい。地元のお客様はご高齢の方も多いので、お客様の健康や安全が1番大事だという事。

チケットをご購入頂いたお客様に大至急謝りの連絡をいれながら、私は悔しい思いをかみしめた。

それからが悪夢の様だった。地元の小中高校が休校となり、地元にも感染者が出始め、ピアノ教室も休校せざるを得なくなり、式典などの伴奏、演奏の仕事も軒並みキャンセル、コンサートもキャンセル。

私は一気に無職になった。地元のスーパーは開いているのに。病院も開いているのに。役所も開いているのに。

音楽はそんなにも人々に必要ないのか。不要不急なのか、、、。

私は音楽業界では底辺の人間だとは思っているが、それでも、人生をかけて音楽をしてきた。

4歳から始め、幼少期からピアノの練習は毎日2時間は当たり前だった。レッスンには母親が付き添い、レッスンで注意された事を母がメモをとり、練習する日々。幼稚園のころお友達の誕生会に呼ばれて「ピアノの練習の時間だから。」と早く帰らなければならない悔しさ。まだケーキ食べてないのに。小学校になって大きくなり自分で電車に乗ってレッスンに行っても、カセットテープにレッスンを録音して、家で練習。家族で旅行に行く宿の選択基準は、ピアノがあるかどうか。コンクールで上手くいかない時の先生の怖さ・・。小学生の高学年では毎日3時間練習は当たり前だったし、音大付属に行くと決めてからは塾にも行って忙しかったから、テレビなんてほとんど見たことが無い。だから、友達とアイドルの話しなんてできない。「日本昔話(レッスンの土曜日、30分だけ許されていたので。)しか見たことない」なんて、小学校高学年でありえないでしょう?そんな事言えないから、ただいつも聞き役ばかり(笑)。そんなこんなで学校の合唱の伴奏や指揮はいつもやっていたのだが、「なんでいつもアキちゃんばかり?」と文句を陰でいう子もいたり、いなかったり・・。(「だったら私と同じだけ練習してみてよ。」と思っていた。)

音大付属に入ったら、入ったで、弾けるのは当たり前。小学校の頃に習っていた先生との教え方の違いに戸惑い、悩み・・。弾き方そのものを否定される日々。最初の1音に3時間かかるレッスン・・・。帰りのバスで涙したこと数知れず・・。

もっともっと良いこと辛いこと、ピアノと向き合う中でいっぱいあったけど、そんな事全部否定されている錯覚に陥った・・・。

そんな時、出会った映画が「日日是好日」。

元は禅語のひとつの様だが、この映画を初めて家で観た時、 心がスーッと軽くなった。黒木華さんが演じる主人公が樹木希林さん演じる茶道の先生から手ほどきを受けるといういたってシンプルなストーリーなのだが、これが良いのだ。映像と音楽の絶妙なマッチも素晴らしいし、何より俳優さんも素晴らしい。セリフの無い時の佇まい・・実際、全身癌だったと告白してからもなお俳優業を全うされる樹木さんの気高さや気丈さみたいなものを強く感じた。

映画の中のセリフにもハッとさせられる。

何でも頭で考えない。

雨の日には雨を聴く。雪の日には雪を見て、夏には夏の暑さを、冬には身の切れるような寒さを感じる。

あるがままを感じる日々の素晴らしさ。

そうだ。私は生きている。生かされている。何も変わらない。

茶道の心得の「一期一会」をかみしめながら、私の出来る事を一歩一歩やっていこう・・・そう思えた作品でした。

映画の中にこんなセリフも有りました。

「立春が何故1年の中で一番寒い日なのか知ってる・・・?」

「それは、これから春だ、もうすぐ春だ、あたたかい春が待っている、と厳しい冬を乗り越えるための先人の知恵なのよ。」・・・と。