お教室の新しいグランドピアノYAMAHA C5Xが2022.12.27に搬入されてから、もうすぐ3か月が経とうとしています。やっと色々な事が落ち着いてきたので、せっかくですから一大決心をしてこのピアノを購入したエピソードを書こうと思います。
今まで使用していたグランドピアノは、私が中学(国立音大付属中学)2年の頃に両親が購入してくれたものでした。その当時国立駅前にあった国立楽器へ恩師の結城先生と母と私で向かい、3台のヤマハC5のグランドピアノを楽器店に準備して頂き、先生のアドバイスを元に選定させて頂き、自宅にグランドピアノが届いた時の喜び、これから共に歩んでいくんだという意気込み、、、。それまでアップライトピアノでしたから、タッチの軽さと圧倒的な重厚感。今でも鮮明に覚えています。
それから30年以上(年齢バレルかな、、なので少し曖昧に?*_*))共に苦楽をともにしてきた相棒。
高音のキラキラ感と低音の重厚感のバランスがとても良くて、コンサートホール以外のピアノでは、大抵が(あー、うちのピアノの方がいい!)と弾いていて思ってしまう位、とても良いピアノでした。
そんなに大好きなピアノだったのに、ここ数年ピアノの弦が良く切れるようになって、調律師さんの話では経年劣化なので仕方ない、との事でした。それでもピアノは手作りですから、「こんないいピアノ、もう出会えないかもしれない!」と思って、この数年は切れる度に弦を調律師さんに張り替えてもらって、様子をみながら弾いていました。しかし、(私にとっては)事件が起きました。
まさかのコンサート本番前日の弦切れ!!
2022.10.16二宮演奏協会主催のサロンコンサートの前日、朝1番で通し弾きを録音している時に起こりました。からたちの花、雨の庭を終えて、ショパンバラード1番のラストのプレストの情熱的な所の1番上のシ♭!!
ビン!というにぶい音とともに(あー、やってしまった!)という後悔。
そこからがパニックでした。高い弦は連動していて1つ切れると連鎖して違う音も次々と切れていく事があると聞いていましたので、もう高いシ♭付近は弾くのを辞めようとしたのですが、何と今回取り上げた曲の高いシ♭の多いこと、多いこと、、、。しかし、明日は本番。全く弾かないのは怖い。
ダメ元で調律師さんに連絡すると、丁度空き時間ができたとの事で何とか夕方に来て頂き(神様のように見えました!!)、弦を張り替えて頂き、夜には弾く事が出来たのですが、どうも朝に弦が切れたシ♭の所がくるとしっくりこない。又切れるのではないか、と身構えてしまう、、、。
サロンコンサートでしたから少人数のお客様でそこまで大きなコンサートでは無いのですが、私にとってはソロ3曲をコロナ以来久しぶりに人前で弾くという大きな出来事でしたので、コンサートは素晴らしい共演者に支えられて無事好評を頂き終えられたのですが、この事件は(少し大げさですが(*_*))大きなトラウマのような形で私の胸に残りました。
「やっぱりピアノ、買い替えよう!!」
それからこういう時の為に貯めておいたピアノ貯金の通帳を胸に、あちこちの楽器店に問い合わせる日々。最初は海外のピアノ購入も視野に入れていたのですが、色々話を聞くと、調律などのメンテナンスの難しさ、日本のピアノはやはり日本の気候(温度湿度など)に合わせて作られているという事実。それに練習するなら弾き慣れたヤマハのピアノがいい。やはりサイズはC5かな、、、?あれ?今はC5Xというの、、?何、今までと何が違うの、、、?ほう、支柱の構造と響板がヤマハコンサートグランドピアノCFX(フルコン)に限りなく近づいた、、と。いいじゃない!では、選定できますか、、?できれば3台位で、、。
「C3は選定出来ますが(しかも有料!)、C5は大きいのでヤマハの掛川の工場での選定となります。」
えー!掛川の工場、、、?!
そんな大げさな事になってしまうのは何だか困る。だって私はどこそこの有名なピアニストでも無いし、音大の教授でも無い。
でもピアノは手作りだから、同じ銘柄でも、どのピアノも個体差がある。性格がある。
それはかつて中学の時、恩師が教えてくれた。3台並んだヤマハグランドピアノC5を前に動揺していた私の背中を押して「いつも通り弾きなさい。3台とも。」、、と。
すると3台とも皆違う音がした。一番キラキラした音のピアノを指差して「このピアノ、あなたに合うんじゃない?」、、。
だから、今回も選定はした上で、ピアノは購入したかった。
工場でなくて、どこかお店で選定できる所はないか、、。
たまたまネットをみているとヤマハのC5Xの説明を丁寧にしている楽器店のページが有った。
島村楽器、、。おー、私が音大卒業してすぐ、結婚するまでヤマハシステム講師として就職した楽器店ではないか。早速、連絡してみると、「現在、C5X、2台ならすぐ選定出来ます。3台なら数週間待ってもらえたらすぐ出来ます。」
「すごい!」銀座のヤマハでも出来なかった事を、、、。
「お願いします!」
そこからは迷いは無かった。2022.12.20 島村楽器市川コルトンプラザ店で、ヤマハグランドピアノC5Xの3台準備して頂き、選定を行い、無事、2022.12.27に我が家にC5Xがやってきた!!
今回私は奥行き200cmのC5X(ちなみにC1Xだと奥行き161cm)の特徴である低音の重厚感を重視して選定した。キラキラ感も欲しかったが、ピアノは生き物なので、使用者に合わせて年々変化していくもの、、との話を信じて、キラキラ感は待ってみる事にした。
数か月経った最近、最初の頃よりキラキラ感が増してきた気がする。
調律師さんも良い方(ドイツのベヒシュタインの工房でピアノ製作をされていた技術者!)を島村楽器に紹介して頂き、これからこのピアノの変化がますます楽しみになった。
切れのいい音の立ち上がり。
きらめきのある音色。
粒立ちの良い和声感。
精密にして、大胆な、ヤマハコンサートグランドピアノCFXの恩恵を受け継いだ、
YAMAHA C5X、、。
当教室で是非、ご堪能ください(^_-)-☆