2017年12月10日、二宮町生涯学習センター(ラディアンホール)にて、第36回二宮演奏家協会の定期演奏会「音楽の玉手箱Ⅲ・劇場支配人」が行われました。
「劇場支配人・・・って何?」とコンサートのお知らせをした頃から良く聞かれました。これは、モーツァルトのオペラ「劇場支配人」からヒントを得て、大野光彦氏(二期会テノール歌手、演出家、私の母校の大先輩でもある方・・)がコンサート全体をオペラ仕立てにして台本を書いて演出して下さり、演奏だけでなく、演奏の間の劇やトークも両方楽しめるエンターテイメント性の高いコンサートです。
私はこのコンサートでピアノソロで出演でしたから、当然普通のコンサートなら、ピアノソロの練習だけで済むはずです。・・・ところがどっこい?!まず、家に台本が送られてきました。
その時点でもびっくりなんですが、台本を読んでまたびっくり!・・・え~、椿姫の乾杯の歌を原語で歌う?!・・・ワイングラスを持って舞台に出る?!・・・怒りながら舞台でつっこみを入れる?!・・・(*_*)
声楽科の方々はオペラで演劇の勉強もされてるでしょうが、もうピアノ科出身の私は未知の世界です・・・そ、そ、そんな、演奏前に、舞台で演じるなんて・・・。
そんな私の気持ちなどお構いなしに練習は進んでいきます。
「はい、ピアノ科だから・・とか通用しないから!」
「は、はい・・・。」
通し稽古、ゲネプロ、前日リハーサル・・どれも夕方から夜10時位まで続きます(*_*)
もう、疲れた、練習無理・・という頃、当日の本番がやってきます。
前日までの声楽の方々の賑やかさはどこに行ったのか、本番当日は朝から、楽屋や舞台袖・・どことなく緊張感が漂います。トイレや舞台袖で発声練習をする声楽の方、本番前の最終リハで音合わせをする管楽器、弦楽器のオーケストラのメンバー・・・「あ~、とうとうきたか」といった感じ。
私の出番は4番目。ドビュッシー・月の光。
月の光に合わせた青白い照明。ピアノはスタンウェイのフルコン。531席の良く響くラディアンホール。しーんと静まりかえった客席。
すーっと自分の世界に自然に入る事ができました。
自分の思い描く情景、音色、響き・・・。
細かいミスはありましたが、大きな流れはつかめたのではないかと思います。
実ほこの曲、音大時代スイスに短期留学していた時に持っていっていた曲で、アカデミーの終了コンサートとして地元の方々のいる教会で弾いた曲でもあり、私にとって思い入れの有る曲でした。お客様から拍手をいただいた時、その20年前のコンサートを思い出していました。
演奏が終わると、やはりほっとするものです。出演者の方とおしゃべりする余裕もでてきました。演出家の大野さん(先生と呼ぶと怒るので・・)とは楽屋の廊下で、音高、音大が一緒なので、裏話がたくさん聞けて面白かったです。なんと大野さん、国立の音高では有名なピアノ科のH先生とY先生の結婚式の司会をされたとか・・・。ゲストのバリトンの太田代さんも国立出身で、ピアノ曲はモーツァルトがお得意で、当日の衣装は実は全身ユニクロだったとか(笑)。
会場で聴く事の出来た声楽の方々の素晴らしい歌声・・・。やはりゲストだな、と感じるテノールの五十嵐さんの温かい張りの有る歌声、なんと素敵な高い声がでるのでしょう・・・ソプラノやメゾソプラノの方々、台本には書いてないアドリブ(プリマドンナとプリマハムの聞き違い、プログラム表記の間違いを太田代さんの尻に自信があるからのトーク)で観客を沸かせるテクニックもさすがでした☆
コンサート終了後、出演者全員で集合写真を撮りました。みんな、ほっとした、充実した、本当に良い笑顔でした(^-^)
今回、練習は大変だったけど、「1つの舞台を皆で創り上げていく」という素敵な経験ができた事は、私にとって大きな財産です。こんな経験ができたのも、私なりに音楽を真剣にやってきたから。
やっぱり音楽って素晴らしい。
「私に音楽を与えてくれて、ありがとう☆」
コンサートの後、思わず母に言ってしまいました(^-^)